成績が中の下の音大生。一般企業で働く自信がない

大内先生はよく「音大卒は武器になる」と発言なさっていますが、私は、音大生(オーボエ専攻です)といっても演奏レベルは中の下くらいですし、練習も1日1時間程度で専攻の先生に怒られてばかりです。だからといって英語や他の教科の成績が良いわけでもなく、性格も根暗なほうですし、自己分析しても特にいいところが見当たりません。大学卒業後は一般企業に就職したいと思っているのですが、一般大学を出た人にまじってやっていけるものでしょうか? 自信がありません。

(音楽学部2年:ミケ)

一般社会で音大卒は武器になる。ポジティブに!

 私が「音大卒は武器になる」と言うのは、何も演奏がうまいと武器になる、と言っているわけではありません。音大生にとって演奏力はとても大事なのですが、一般社会で武器になるのは音大生活で培われる能力。むしろ演奏力以外の能力です。「せっかく音大で人生の武器になるくらい様々なことを学んでいるのに、演奏力ばかりに気を取られ、他の学びを武器にしないのはもったいないなぁ」と思っているからです。
 私は、音大での学びには、演奏力などの音楽の実力や知識のみならず、コミュニケーション力、ストレスへの耐久力、正確・丁寧さ、確認力など、一般の社会人が身に付けるべき社会人基礎力を養う力があると考えています。それは、まさに社会一般から必要とされるもので、それを活かす道は、音楽以外でもいくらでもあるはずです。
 ただ、それを生かすも殺すも、それは本人次第。しかもその社会人基礎力は、「好きな音楽」のために、生活のかなりの部分を費やして努力し続ける学生生活があってこそ得られるものだと思います。ですから、せっかく身に付くはずの社会人基礎力も、本人の音楽への取り組み姿勢が弱ければ、残念なものになりかねません。

 さて、ミケさん、少し結論を急ぎ過ぎてはいませんか? まだ2年生、これからどんどん成長していきます。私から見ると、まず「2年生で悩んでいる」ということがすばらしいことです。
 私も学生時代はそのひとりでしたが、大半の学生は時に流され、就活時期になって慌てて自己分析したり、何に向いているか、と思い悩んだりするものです。今、この段階でそれができている自分を、まず誉めてあげましょう。

 そして、少しポジティブ思考でいきましょう。
 成績はこれから頑張れば、どんどんよくなるし、オーボエだってうまくなります。私は、練習して成果ゼロの学生を見たことがありません。先日も3、4年生に「1年生の時と比べて演奏が下手になった人?」と手を挙げてもらう機会があったのですが、該当者は1人もいませんでした。ですから、少しずつでいいので前に進みましょう。
 あと、ご自身では根暗とお考えのようですが、根明であればいいというものでもありません。世の中はいろいろなタイプの人がいます。そして、人生を経ていくうちに根明の人が根暗になったり、その逆も起こるものです。
 ただ、ひとつ言えるのは、面白いもので、悪い方へ悪い方へと考えると本当に悪い方向に進んでしまいますが、何ごとも前向きに捉え、積極的に取り組めば結果は伴っていくものです。ですから、根暗を無理に直そうと考えるより、先ほど申し上げたように、少しポジティブに考えるよう心掛けてみてはいかがですか。そのためには、小さな目標でいいので、目標を立てて、計画的に物事を進めることをお勧めします。
 まだまだ学生生活は半分以上残っています。頑張れば、自ずと結果はついてきます。

 それと、一般大学の学生だって、実は多くの不安を抱えています。音大生は全学生の1%にも満たない希少性をアピールできますが、99%の中で、どう自分をアピールできるかは、彼らにとって深刻な問題です。
 私も正直、就活や社会人になった時、周りが優秀に思えて、この中でどうやっていけば生き残っていけるのか、見当もつきませんでした。自分への自信は、努力を重ねるうちに、自然と身に付くものなのかもしれません。

(2017.11.30)

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