調律師になるには?

2016年本屋大賞の『羊と鋼の森』を読んで、調律師という職業に興味を持ちました。現在ピアノ科1年生なのですが、うちの音大には調律師になるためのコースがありません。どうすればなれるのでしょうか。

(音大1年:さまよい人)

資格は絶対条件ではありません

 私は『羊と鋼の森』はまだ読んでいませんが、『ピアノのムシ』という漫画は愛読しています(笑)。同じ調律師でも実力の差は大きいようで、まさに実力の世界、といった感じですね。さすがに主人公・蛭田敦士のように、昼からお酒を飲みながら調律をする人はいないかもしれませんが、調律師の方から話を聞く限り、実力がないと生きていくのが難しい世界であることは間違いないようです。
 また、必ずしもピアノ専攻が有利、というわけではありませんので、その点は注意が必要です。私の中学時代の後輩に、ショパンコンクールで調律を行っている凄腕の調律師がいますが、音大での専攻はトロンボーンでした。調律師は演奏家ではなく、あくまで技術者です。時々就職課に来る学生で、調律師になって「いろいろなピアノを弾きたい」という学生がいますが、そのような意識で調律師になると後で大きな誤解に気付くことになりそうです。
 なお、調律師には国家検定であるピアノ調律技能士試験がありますが、医師や弁護士資格とは異なり資格がなくても調律師にはなれます。ですから極端に言えば音大卒業後、個人ですぐ調律師となることができます。ただそれでは技術もなく、お客が付くとは思えませんので、一般的には音大卒業後に調律学校に通い、ピアノ調律技能士(1〜3級)資格を取得して楽器店やピアノ製造会社(メーカー)に調律師として入社する場合が多いようです。
 楽器店やメーカーで働いた後、実力と自信がある人は、独立して自分で調律の会社をつくる道もあるようですが、最近はピアノよりは電子ピアノの方が売れている時代ですから、よほど技術や営業力に自信がないと難しそうです。

(2017.4.7)

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