目からウロコの就活術・キャリアQ&A


期間限定でクラシック関連の仕事をしてみたい

実家暮らしの地方国立大生です。家が小さな会社を経営していて、ゆくゆくは私が後を継がなければならないのですが、まだ親も元気ですし、一度は一人暮らしをしてみるべきだと思い、卒業後は東京に行ってバイトでも何でもよいのでクラシック音楽に関われる仕事をしてみたいと思っています。4〜5年限定、一人暮らしができる最低限の給料でいいのですが、どんな仕事がおすすめですか?

(人文学部4年:の〜ちん)

募集人員が多めのアルバイトが一般的ですが…

 地方の学生の方からは、これに近い質問を多く受けます。
 もちろん、東京で生活をするかしないか、どう生活するかは質問者さん次第です。東京でクラシックに関係する仕事としてすぐに思いつくのは、音楽之友社さんのような出版社、そして音楽事務所やレーベルなどの事務の仕事かもしれませんが、これらはアルバイトといってもそもそも募集人員が少ないのでかなりの難関です。そのため、比較的募集の多い楽器店やCDショップの販売員、ホールのチケットもぎりなどのアルバイトが一般的です。「ネットTAM」、「一般財団法人 地域創造」などのアートマネジメント系の求人情報をこまめにチェックしてエントリーするといいと思います。
 なお、「好きなことができるのはあと4〜5年なのだから」と自分がやりたいことを優先する、というのもひとつの考え方ですが、4〜5年先を見据えてその時に役立つような生活を東京でする、という方が将来のためになる気がします。
 具体例として、ゆくゆくは実家のお寺を継ぐ予定の学生が、臨時免許を取得して幼稚園に勤務し、その間に幼稚園教諭の免許を取得した例がありました。これは、ご実家のお寺に幼稚園が併設されているため、将来その幼稚園の運営に役立つだろう、との考えに基づくものです。このように、将来につながる経験をしておくと、いざ地元に戻った時、スムーズな生活の切り替えができるように思います。
 質問者さんの場合、一度親元を離れて一人暮らしをしてみる、というのはひとつのチャレンジだと思います。その際、ご自分がお好きなことをするか、ご実家の会社経営に役立つ仕事なり勉強をするか、そこは考えどころですね。

(2017.10.19)

教育実習は就活に不利?

両親から中学・高校の教員免許を取得することを条件に音大受験の許しをもらい、音大に入りました。ただ、教員になる気はなく一般企業就職を考えています。教育実習は6月の予定なのですが、教育実習は「就活に不利」という話と、「企業は配慮してくれるので大丈夫」、という話がありますが、実際のところはどうなんでしょうか?

(音楽学部3年:EN)

日程調整が難しく「不利」となることが多い

 現在の就活スケジュールは、特に大企業や人気企業志望の教員免許取得希望者にとっては非常に不利な状況にあり、とても問題だと思っていますが、残念ながら「就活に不利」となることが多いのが実情です。
 私の大学でも、現在4年生の就活で「教育実習の日程ともモロ被りで、メガバンクの面接を辞退せざるを得なかった」という事例が報告されています。特に大企業、人気企業ではその傾向が強く、例えば6月1日からの10日間で採用の大方を決めてしまうなど短期決戦となりがちです。
 その日程は企業や職種で異なりますが、6月1日の内々定解禁に照準を合わせた日程ですので教育実習と重なる場合は、たとえエントリーシートなどでの書類審査が通っていても、面接を受けられないことになります。

 一方、企業はまったく配慮していないかというとそういうわけではありません。ただ、短期決戦ですので、例えば面接日を6月3日と指定してきて、その日都合がつかない場合は前後の数日に変更する配慮はしてくれることもありますが、教育実習期間は通常2〜3週間という長丁場。土日も含めて就活をしないよう指導している大学もあり、この程度の企業側の配慮では面接が受けられなくなることが多いのが実情のようです。
 さらに悪いことに、教育実習は近年特に5、6月に集中する傾向が強まっているようです。

 以上はあくまで大企業や人気企業に就職したい場合に特に顕著な傾向です。幸い今は“売り手市場”で人材集めに苦労している企業も多くあり、そのような企業では教育実習期間中も待ってくれたり、7月以降も採用活動を行ったりしています。ですから、大企業や人気企業にこだわらない場合は大きな不利になることはないと思います。
 もしあなたが人気企業や大企業に入りたいという希望を強く持っているのであれば、教育実習は大きな足かせになる可能性があります。ご両親に私のこの回答をお見せするなどして、ご理解をいただいたうえで教員免許取得は断念し、就活に専念することを検討してはいかがでしょう。

(2017.7.28)

親や先生に就職を反対されている

一般企業に就職したいと思っているのですが、先生や両親に反対されています。ピアノの先生か学校の先生になってほしいようですが(両親ともに教員です)、私は、仕事をしながらピアノは習い続け、将来結婚して子育てが一段落したらピアノ教室を開くのもいいなぁと思っています。先生や両親に納得してもらうためのいいアイデアはありませんか?

(音大2年:@)

決意が固くなければ、まずは音楽を

 「音大に行かせたのだから音楽に関わりのある職業に就いて欲しい」―――音大生の親御さんには、このようなお考えを持つ方は多くいらっしゃいます。ただ、その思いの強さはご家庭によりさまざまです。
 このような相談を毎年数件受け、何が何でも教員か音楽教室に、という強硬な親御さんも中にはいらっしゃいますが、ほとんどは親子間で進路についてよく話し合うことで相互理解が得られている気がします。

 まずは先生や親御さんがなぜ教員かピアノの先生になってほしいか、その理由をよく聞いてみることだと思います。ご両親がともに学校の先生とのことですが、このような場合、自分たちがよく知らない教育業界以外世界に子供を行かせるのは不安だ、というケースがよくあります。また、まだ2年生ですから、余計なことを考えずにまずは音楽で身を立てられるくらい音楽に打ち込んでほしい、との願いがあるかもしれません。
 私もまだ2年になったばかりなら、まずは音楽に打ち込んでいろいろチャレンジしてみては? と思います。せっかく音大というチャレンジの舞台に立っているのですから。

 「仕事をしながらピアノは習い続け、将来結婚して子育てが一段落したらピアノ教室を開く」―――この道はとても現実的な道だと思います。これで成功している音楽教室も数多くあります。ただ、今はこの道に決め打ちするよりは、音楽に打ち込むときでしょう。進路を決めるのはそれからでも遅くないと思います。
 もし、どんな仕事に就きたいのか決まっていて、その決意が固いのであれば、その仕事に就くための準備に入ってもいいのかもしれません。宅建士、簿記2級以上などそう簡単には取れない資格取得やTOEICなどの語学試験での高得点は、一般企業就職での差別化要因になり得ます。
 ただ、これも注意点がありますので、ぜひ『目からウロコの就活術』P.185〜186をご参照ください。

 先生やご両親を納得させるためのアイデアもありますが、それはもう1年音楽に打ち込んでも状況が変わらなかった場合にお伝えしたいと思います。質問にストレートにお答えできていませんが、それが質問者さんのためだと思いますので、お許しください。

(2017.6.22)

OB・OG訪問できる企業が少ない

一般大学生の就活ではOB・OG訪問するのが普通のようですが、自分が通っている音大ではそもそも一般企業に就職した人が少なくてOB・OG訪問できる企業が限られているようです。OB・OG訪問しないと不利になるのでしょうか?(特に人気企業の場合)

(音楽学部3年:テレマンねん)

OB・OG訪問しなくてもOK

 無理にOB・OG訪問する必要はありません。
 みなさんからみるとOB・OGは親しみのある先輩かもしれませんが、彼らも今や立派な組織人。後輩の訪問を受ければ、訪問をした学生の名前や自分が知っている学生本人に関する情報、面談時の自分の学生への評価などを人事の採用担当に報告するのが一般的です。同じ大学の後輩だからといって甘い評価をすれば、OB・OG自身が会社から「人を見る目がない」と厳しい評価を受けることになりかねません。つまり、OB・OG面接って、じつは面接が1回増えるようなものなのです。ですから、OB・OG訪問しないと就活で不利な扱いを受けるということはまずありません。
 同様にOB・OG訪問を行う場合は、先輩だからと気楽な気持ちで臨むことなく、学生言葉を慎み、他の面接と同じ構えで臨む必要があります。

(2017.5.22)

音楽教室講師になるための就活準備

音楽教室の講師になりたいと思っています。どのような就活準備をすればよいのか教えてください。

(音楽学部2年:モコ)

実技とコミュニケーション能力が重要

 ヤマハさんのような大手の音楽教室の場合、ピアノなど担当科の課題曲、自由曲の実技の他、一般常識、楽典、聴音、初見演奏、伴奏付け、メロディー視唱などが課されるうえ、面接や適性検査なども実施されるようです。試験は一次、二次に分かれ、その前に音源審査や書類選考がある場合もあります。
 一般企業の就職試験の多くがSPIなどの簡単な筆記試験と面接だけなのに比べると、正直、試験科目が多く大変だなぁ、と思います。やはり音楽を教えるにはさまざまな能力が必要なのですね。改めて音楽教室の先生ってすごいな、と思います。楽典やソルフェージュ関連など大学の授業で身に付くことも多いと思いますので、これらの試験科目を意識して、授業の履修科目を選ぶといいかもしれません。
 なお、個人の先生が運営している音楽教室の募集要項を見ますと、担当科の実技と面接のみという教室もあります。ですから少なくとも実技とコミュニケーション能力は欠かせない、ということでしょうね。
 また、将来自宅などで自分の音楽教室を開きたい、と考えている方にはできるだけ早い時期から拙著『「音楽教室の経営」塾』 ↓△覆匹如峽弍帖廚砲弔い導悗屬海箸鬚勧めします。音楽教室もひとつの企業。ビジネスとして成り立つ音楽教室にするには経営感覚が必要です。

(2017.5.22)

地方の公共ホールで働くには?

音大2年生男子です。卒業後は地元に帰って仕事をしたいと思っているので、できれば公共のホール(地方なのでクラシック専用ではありません)で働きたいと思っています。こんな基本的な質問で申し訳ないのですが、採用されるにはまず地方公務員になる必要があるのでしょうか。

(音大2年:カモネギー)

3つの道があります

 いえいえ、申し訳ないなんてことないですよ。大学を出て社会人になるというのは何かと不安があるものです。ご遠慮なくご質問ください。
 公務員として安定した職場や収入を確保したいか、公共ホールで働くこと自体を重視するかによって答えは違ってきます。

 まず、安定して自治体の公共ホールに勤務したいのであれば、地方公務員試験に合格して公務員になる必要があります。
 また、公共ホールが自治体ではなく、地域の「芸術振興協会」のような第三セクターなどが運営している場合はそこの採用試験を受け、合格する必要があります。留意点としては、地方の公共ホールの職員数は契約職員も含め、10人以下のところが多く、毎年採用があるとは限らないことです。また即戦力が求められることから、応募条件は既卒可が一般的で、その方が有利な場合が多いと思います。
 なお、最近は自治体や第三セクターが直接運営せず、運営を民間に委託している場合も多くあります。公共のホールで働くこと自体を重視するのであれば、このような企業に勤めるのもひとつです。ただ、民間委託は入札制ですので、ひとつの民間会社が特定のホールを長期にわたって委託できるとは限りませんので、この場合は地元のホールから離れなくてはならなくなる可能性もありますのでご留意ください。

(2017.4.7)

一般就職後ピアノの先生に。おすすめ就職先は?

音大生なのですが、一般企業に就職をして、仕事をしながらピアノは習い続け、将来結婚して子育てが一段落したらピアノ教室を開くのもいいなぁと思っています。その場合、就職先にはどのような企業を選べばいいのでしょうか。もし、おすすめがあったら教えてください。

(音大3年:PPAPP)

将来の教室経営に役立つ仕事は多い

 仕事をしながらピアノを習い続ける、というのはすごくいいですね。最近は大人の音楽教室が増えてきており、習っている人は多くいます。卒業生の中には一般の企業で働きながらコンクールに出たり、習っている教室の発表会に出たり、という方は大勢いますので、がんばっていただきたいと思います。

 4月下旬発売予定の『「音楽教室の経営」塾』(1巻:導入編、2巻:実践入門編)では、まさにご質問いただいた音大卒業後、音楽教室を開業するまでの道のりについて詳しく解説していますが、一般企業を経て音楽教室を開くというのは、開業のための資金を貯めやすいこと、保護者対応や生徒集めなどのピアノ指導以外に必要なスキルを磨くうえでも推奨できるルートだと考えられます。拙著で紹介しているそのほかのルートとも比較のうえ、納得感のある進路をお選びいただければと思います。
 一般企業で働いた後に開業する場合に適した企業ですが、せっかく一般の企業で働くのであれば、将来の音楽教室経営に役立つ職種がいいと思います。音楽教室経営で苦労するのは生徒集めと親御さんとのコミュニケーション、確定申告などのようですから、航空会社のキャビンアテンダント(CA)のような接客業、経理関係の仕事、あるいはネットを駆使する仕事は音楽教室で役立つスキルが身に付きやすいのではないでしょうか。

 また、習っている教室の発表会などは土日に開催されることが多いようですから、銀行や保険会社、電機や機械などのメーカーの事務職など土日が休みの企業がいいと思います。CAのように曜日固定ではない職業も発表会の日は予めわかっているので対応できるようです。

(2017.4.7)

ESで足切りされることはある?

エントリーシート(ES)は大学名で足切りするためのもののようですが、「音大生」だからといって落とされることはあるのでしょうか。

(音楽学部3年:文文)

「音大生」だからという理由はまずありません

 企業にもよるかもしれませんが、基本的にはESは大学名で足切りするためのものではありません。
 企業が知りたいのは就活生の本来の姿。その学生が何に興味があり、どのように考え、何をしたいのか、見極めようとします。その際、何かとっかかりがないと限られた面接時間でその学生を評価するのは困難です。志望動機、学生時代に力を入れたこと、社会人になってどのような仕事をしたいか、自分の強み・弱みをどのように考えているか、などをあらかじめ記入してもらうことで、面接時にそれらを深堀りすることができるのです。
 ですから、ESは絶対に手を抜かずに書いていただきたいですし、コピーを取っておいて、面接前に何を書いたのかしっかり確認して臨んでいただきたいと思います。
 なお、「音大生」だからといって落とされることは、まずないと思います。私が指導する中で、少なくてもメガバンク、生命保険会社、航空会社、総合商社などの人気企業には音大生が入っていますし、そこで大活躍しています。もし、音大生であることを理由に採用しない企業があるとすれば、せっかくの人材獲得のチャンスを見逃している残念な企業です。そんな企業は相手にする必要ありません。

(2017.2.21)

“音大生ならではの強み”を生かしたい

企業への就職を考えていますが、せっかく音大に入ったのだから、できれば“音大生ならではの強み”を生かした仕事をしたいと思っています。就職先にはどのようなものがあるのでしょうか。

(音大1年:ぱゆ)

むしろ一般企業で強み発揮する例多い

 “音大生ならではの強み”をどう考えるかですね。
 「音楽性や演奏能力が高い」と考えれば、自衛隊や警察の音楽隊のような演奏団体ですし、「音楽や楽器の知識レベルが高い」のであれば楽器店もいいと思います。その他、音楽事務所、コンサートホールや管弦楽団事務局、楽譜や音楽書の出版会社などは“音大生ならではの強み”を発揮しやすいと考える学生は多く、人気の職種となっています。
 ただ、これらの会社が音大生を求めているかというと、必ずしもそうではないようです。毎年10人〜20人採用するある楽器店で音大生はゼロだったことがあると聞いています。音大生に人気の会社は、案外音大生であるかどうかを問題にはしていない場合が多いようです。
 音楽に関係する企業であっても、売り上げが上がってはじめて会社として成り立ちます。そのため楽器・楽譜の販売では多少“音大生ならではの強み”があるかもしれませんが、他の仕事では残念ながら、“音大生ならではの強み”はあまり関係ない気がします。

 一方、“音大生ならではの強み”をマンツーマンレッスンで鍛えたコミュニケーション力、すぐにめげない精神力や忍耐力、正確・丁寧さ、などの“社会人基礎力”と考えると、こういう素養を備えた人を求めている企業は数多くあります。そして、一般大学の学生よりははるかに優位性が高いようです。音楽業界に限らず、幅広くチャレンジしてみてはいかがでしょう。
 私の大学では、銀行、商社、生命保険会社、航空会社、IT関連企業などに勤務する学生が多くいますが、比較的離職率は低く、学園祭などで就職課にやってくると、いきいきと活躍している様子を話してくれます。

(2017.1.11)

バイト代わりに音楽講師はできる?

卒業後、ピアノの勉強をしながら演奏活動ができればよいと思っています。しかし、一人暮らしを続ける予定なので、生活費を稼がなければなりません。バイト代わりに音楽教室の講師はできるものでしょうか?

(音大3年:悩める子猫)

バイト感覚の講師で一人暮らしは難しい

 まず、音楽教室の講師はそう甘い仕事ではありません。教育者としての側面がありますから、「バイト代わり」という考え方では決して生徒やその保護者とうまくやっていくことはできません。もし音楽教室の講師をするのであれば、生徒や保護者の気持ちに寄り添っていこうという、強い思いを持って音楽教室講師になってくださいね。
 さて、悩める子猫さんのように考える学生はとても多くいます。大学の4年間では学びきれないのでもっと勉強したい、とのお気持ちはよくわかります。でも、世間はあなたのペースに合わせてはくれませんし、経済的に成り立つ道を考えないと長続きしません。演奏活動で生きていこうと思うならば、大学3年であればコンクールでの入賞など、ある程度の実績がついていなければ見通しは厳しいと思います。音大卒業生では音楽教室の講師になる人は多いですが、地方の学生の場合、経済的に立ち行かなくなるケースが目立ちます。
 というのも、個人で生徒を集めようとしてもなかなか集まりませんし、音楽教室に所属する場合は月謝の半分以下しかもらえないことが多いからです。ですから、卒業後に楽器店系の音楽教室の講師になっても、最初は10万にも満たないケースが多いです。
 これでは生活が成り立たず、外食などでアルバイトもすることになります。自宅であれば、それでも何とかなりますが、一人暮らしなどで生活費がかかる場合は、講師とアルバイトで疲れて体を壊したり、実家からの仕送りが打ち切られたり。実家からのよほどの支援か、結婚相手に恵まれないと、かなりの苦難が予想されます。

(2017.1.11)

音楽事務所で働きたいのですが…

演奏会の主催・企画をしたり、海外アーティストを招聘するような音楽事務所で働きたいと思っています。狭き門だというのは知っているのですが、そもそも募集をしているのでしょうか。

(音大声楽専攻2年:ソラマメ)

「音楽が好き」なだけの新卒には難しい

 確かに狭き門ですね。
 音楽事務所と聞いて、みなさんがイメージしやすいのはアーティストの管理を行うマネジャー(いわゆる付き人)かもしれませんね。でも、その他に全体統括・企画担当、経理・総務・人事担当といった一般の会社にもある仕事の他、著作権管理担当、原盤供給契約や広告・出演契約を行う法務・契約担当、広報担当、マーケティング担当、営業担当などさまざまな仕事があります。大企業と違って少人数ですが仕事の範囲は広いので、ひとりで何役もこなせる人材であることがまずは必須の業界です。ですから、少し厳しい言い方かもしれませんが、「音楽が好き」というだけではなかなか採用されることはありません。
 採用されている人をみていると、法律やマーケティング、会計などに強い、全体を取りまとめるプロジェクト・マネジメント力がある、などの得意分野を持ちながら、各部署と緊密に連携が取れるコミュニケーション力もある、といった多能型人材です。このような人材は新卒ではなかなかいませんので、正社員になれるのは長くこの業界で契約社員やアルバイトで働いていた既卒の方や別の業界でITや法律などの専門分野を身に付けた転職組、というのが一般的な傾向です。
 ただ、この業界で契約社員やアルバイトとして働いても正社員になれる保証がないどころか、なれない人の方が圧倒的に多いのが現実。一旦音楽とは関係のない一般の企業や法律事務所、税理士事務所などで働いて専門性を身に付け、中途採用で応募した方が受かりやすいかもしれませんね。

(2016.11.15)

音楽に携わる仕事につきたいのですが…

音楽に携わる仕事につきたいと思っていますが、自分が何に向いているのかわかりません(何を目指せばよいのかわかりません)。

(音大ピアノ科2年:海)

自分が何に向いているかは、わからないもの

 この質問は、よく受けることがあります。やはりこれまでひたすら音楽を学んできて、大学卒業後を「さあ、どうするの?」と言われれば戸惑いますよね。学んできたのが音楽だから「音楽に携わる仕事につきたい」とのお気持ちも当然だと思います。
 では「音楽に携わる仕事」にはどんなものがあるでしょうか?
 直接イメージしやすいのは演奏家や伴奏ピアニスト、音楽教室講師のような組織に属さない、個人としての活動です(楽器店などの音楽教室講師には社員はほとんどおらず、講師個人が教室と「楽器を教える」契約を結んでいます)。それ以外では、楽器店の販売員、音楽事務所・CDレーベルの社員、オーケストラ事務局職員、アートマネジメント関係などでしょうか。
 このうち他大生に比べ、音大生に優位性がある仕事はどれでしょう? じつは後者のほとんどは、音大生だからといって優位性があるとは限らない仕事です。昨年度(2016年3月卒)ある大手楽器店の内定者は全員音大生以外でしたし、音楽事務所・CDレーベルの社員やオーケストラ事務局職員で必要とされる人材は、海外から演奏家を招聘する際に英語で交渉できたり、法律の知識があって出演契約書を作成できたりする人です。おカネを扱い、会社として決算も行いますので会計の知識も必要ですね。このように、後者は確かに「音楽に携わる仕事」ではあるのですが、その仕事の大半は、音楽以外のスキルや知識が必要です。そこはぜひ押さえておいていただきたいポイントです(アートマネジメント関係や楽譜出版社の求人の多くは既卒や契約社員です)。
 さて、ここでよく考えてみましょう。
 みなさんは、そもそもなぜ音楽大学に入ったのでしょうか。「音楽が好きだから」「もっと音楽を深く学びたいから」「演奏家になりたいから」……人によって、その理由はさまざまです。あなたはどうして音大に入りましたか? まだ2年生ですから、その時の気持ちを大切にして、まずは音楽に精一杯取り組んでみてはいかがでしょうか。そうすると、その先に見えてくるものが出てくるかもしれません。
 「自分が何に向いているのかわからない」――これは誰しも思うことです。私だって大学時代は同じように思ったものです。でも、何に向いているかを考えるより、やりがいのあるものを見出して、それにチャレンジする方が気持ち的にも楽なのではないでしょうか。人間の適応力というのは相当なものですから、向いていなくても歯を食いしばっていると、そのうちその仕事が自分に合っていると感じることがあります。
 これは私自身の経験でもあります。銀行に入って実際に仕事をするようになってから、「この仕事向いてない、しまった!」と思いました。特に最初の3年くらいは毎日思っていました。でも30年経って今振り返ると、「結構向いていたのかも」と思っています(笑)。

(2016.10.11)

楽器店に就職するには?

楽器店に就職したいと思っています。どのような学生が採用されるのでしょうか?
また、どのような能力が必要でしょうか? 仕事はどのような内容なのでしょうか?

(音楽学部3年:さな)

規模によって異なります

 同じ楽器店でもヤマハや島村楽器などの大手企業といわゆる街の楽器屋さんでは採用方法が異なります。また、年度によっても違いがあるのが実情です。  大手楽器店は10人などとそれなりの新卒採用を行いますので、一般企業の採用と同じように考えていただければいいと思います。ただ、会社によっては秋口から採用を行う企業もありますので、個別企業の採用動向については大学の就職担当部署でご確認ください。
 圧倒的に多いのは、地域密着型の街の楽器屋さんですが、こちらは新卒採用をほとんど行っていないのが実情です。もともと少人数ですので、中途採用での即戦力を求めているケースがほとんどです。とはいえ新卒採用がないわけではありませんので、ぜひ楽器店に勤務したいと思う方は、HPなどで個別に採用情報を収集することをお勧めします。
 仕事内容は楽器の仕入れ、販売、経理、店頭企画などさまざまですが、特に街の楽器屋さんは従業員が少ないので「何でもできる人」が求められると思います。「仕事のえり好みをしない人」と言い換えてもいいかもしれません。また、ルートセールスが多いため、普通免許を持っていることが条件になることも多いようです。その意味では楽器店といっても普通の会社なので、ライバルは音大生よりは一般大学生かもしれません。

(2016.7.27)

企業から見た音大生のイメージ

一般企業への就職を希望しています。企業の採用担当者から、音大生はどのように思われているのでしょうか?

企業が欲しいのは「使える学生」

 採用担当者や企業によって多少の違いはありますが、みなさんが意識しているほど音大生だからどうか、とは意識していません。
 採用担当者の目線は「採りたい学生か否か」この一点です。その点、音大生は少し気にしすぎている気がしています。これを書いている今しがたも、あるIT企業から「貴学の卒業生がしっかり働いてくれているので、ぜひ彼女のような人材を送ってください」との要請がありました。企業が欲しいのは○○大学とか、○○学部の学生ではなく、「使える学生」「しっかり働いてくれる学生」です。
 とはいえ、企業はとかく保守的なところがあります。規模が小さい企業など、これまで音大生を採用した経験がない企業の中には、音大生の採用に慎重なところもあるようです。大学の就職担当部署(就職課、キャリアセンターなど)へ行くとOB、OGの就職先データなどがありますので、音大生を積極的に採用している企業がわかります。まずは、そのような企業に積極的にアプローチしてみましょう。
 一方、大企業の多くは栄養学科やスポーツ健康学科など、さまざまな学部、学科から採用しています。自分が「音大生である」という意識よりは「これからしっかり働こう」という意欲を持つことの方が大切です。

(2016.6.20)

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