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舟橋 三十子(ふなはし・みとこ)
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院音楽研究科修了。日本大学芸術学部講師を経て、現在、名古屋芸術大学大学院教授。作曲を池内友次郎、矢代秋雄、三善晃、永冨正之の諸氏に師事。ピアノを小林仁、舘野泉の諸氏に師事。
著書に『はじめてのソルフェージュ』全5巻、『ミュージック・トレーニング』全2巻(以上、全音楽譜出版社)、『クラシックの聴き方入門――名曲のスタイル分析 全80曲』『クラシックのからくり〜「かたち」で読み解く楽曲の仕組み〜』(以上、ヤマハミュージックメディア)、訳書にエドウィン・スミス、デービット・レヌーフ著〔オックスフォード・ミュージック・ワークブック〕『音楽の基礎練習』全3巻(カワイ出版)、ミシェル=オディル・ジロー著『シューベルトを歌いながら学ぼう』全3巻、『モーツァルトを歌いながら学ぼう』全2巻、『シューマンを歌いながら学ぼう』全4巻、ジャン・ピエール・クーロ著『音楽家への第一歩』全8巻(以上、パリ・A. ルデュック社)等がある。
「フォルマシオン・ミュジカル」ホームページ
http://www.formationmusicale.net/

舟橋 三十子

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第02回
2013年度 国立音楽大学入試問題より

Ⅳ.F.Mendelssohn:《厳格な変奏曲》op. 54の主題
(実際の入試問題と解答・解説は、音楽之友社『音楽大学 短大・高校 音楽科入試問題集2013』283〜286ページ参照。)

Ⅰ 入試問題解説

(1)調判定について
 調判定には、旋律の調判定と和声の調判定の2つの場合が考えられます。

1.旋律の調判定
旋律にひんぱんに出てくる臨時記号から調号を考えます。調号から長調か短調を考え、短調の場合は導音が半音高められる可能性(♯、または調号の♭を半音高めるための♮)があるので、この導音の音から調を判断します。高められている音が導音である場合は、それだけで調が判断できます。
 旋律が跳躍進行した場合、その跳躍前の音と跳躍後の音が音階固有の音になります。

次の例で考えてみましょう。
【1】
譜例

ビゼー作曲《アルルの女》第2組曲より第5曲〈メヌエット〉
解説:
 この旋律に用いられている音から、ソ、ミ♭、シ♭、レ、ファの音が音階固有の音と考えることができます。従って♭が2つの調か3つの調であることが分かります。♭が2つの長調は変ロ長調、短調はト短調ですが、ファの音に導音としての♯が付いていませんので、ト短調ではありません。♭が3つの長調は変ホ長調、短調はハ短調ですが、シ♭の音が導音として半音高められていませんので、ハ短調でもありません。可能性として残されているのは、変ロ長調と変ホ長調です。跳躍進行ではありませんが、常にラの音に♭が付いています。結論として、この旋律は変ホ長調になります。

次の例で考えてみましょう。
【2】
譜例

ウェーバー作曲《舞踏への勧誘》op. 65
解説:
 右手の旋律から、ラ♭、レ♭、ファ、ド、ミ♭、ソ♭の音が音階固有の音と考えることができます。7小節目の左手の和音がⅤ7の和音で、8小節目の和音Ⅰの和音(第5音省略形)で全終止ですから、変ニ長調になります。

(2)変奏曲について
 主題と数種類の変奏を、一つの楽曲にまとめたもので、バリエーションとも呼ばれます。主題のリズム・旋律・和 声・拍子・テンポ・調・強弱などを、種々の技法で変化させていきます。
 よく知られた変奏曲として、ピアノのために作曲されたモーツァルトの《フランスの歌「ああお母さん、あなたに申しましょう」による12の変奏曲》(通称《きらきら星変奏曲》)があります。
 次の譜例で、主題といくつかの変奏を見てみましょう。変奏の中に隠れている主題には、分かり易くするため色を付けてあります。

譜例
主題

譜例
変奏1(16分音符を用いて)

譜例
変奏3(3連符を用いて)

譜例
変奏5(後打ちのリズムを用いて)

譜例
変奏8(同主短調、カノン風で)

譜例
変奏11(遅いテンポで)

譜例
変奏12(拍子の変化と速いテンポで)

Ⅱ 応用問題

(1)調判定
a) 次の曲の調名を答えましょう。
譜例
ドニゼッティ作曲オペラ《愛の妙薬》よりアリア〈人知れぬ涙〉

b) 次の曲の(A)、(B)、(C) の部分の調名を答えましょう。
譜例
シューマン作曲《森の情景》op. 82より〈予言の鳥〉

(2)変奏曲
 次の譜例は、変奏曲形式で書かれた楽曲の主題です。それぞれの曲名、作曲者、出身国を書きましょう。e)の主題を用いた作曲家は1人ではありません。

c)
譜例
曲名《         》作曲者[       ]国(     )

d)
譜例
曲名《         》作曲者[       ]国(     )

e)
譜例
曲名《         》作曲者[       ]国(     )

解答
a)変ロ短調
b)(A)ト短調 (B)変ロ長調 (C)へ長調
c)《無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より 第5楽章シャコンヌ》[J.S.バッハ](ドイツ)
d)《ピアノ五重奏曲『ます』より第4楽章》[シューベルト](オーストリア)
e)《24の奇想曲(カプリッチョ)より第24番》[パガニーニ](イタリア)
《パガニーニ大練習曲集より第6番》[リスト](ハンガリー)
《パガニーニの主題による変奏曲》[ブラームス](ドイツ)
《パガニーニの主題による狂詩曲》[ラフマニノフ](ロシア)など

★音楽之友社『名曲で学ぶ音楽の基礎 』でも、30〜35ページにメンデルスゾーンの作品、48〜53ページにブラームスの変奏曲を用いたフォルマシオン・ミュジカルの問題が多数載っていますので、参考にしてください。

ご紹介した本
音楽大学・短大・高校音楽科入試問題集 2013年度

音楽大学・短大・高校音楽科入試問題集 2013年度
音楽之友社 編

2014年度入試を受験する音大・短大・音高志願者のための過去問集。編集部の依頼に応じて公表された国公立大学32、私立大学30、短期大学12、高等学校51校の2013年度入試問題を一挙掲載。楽典や聴音・視唱課題、和声や作曲課題のほか、即興や伴奏付け、難関校の国語、英語、小論文までを網羅。『音楽大学・学校案内2014年度』に発表が間に合わなかった、東京藝大、愛知県芸大、京都市立芸大、東京都立総合芸術高、桐朋女子高、京都市立京都堀川音楽高など、主要校の2014年度課題曲も併せて収載する。巻頭特集「入試の疑問、不安を解消します! ここが知りたい! 音大入試Q&A」〈管楽器専攻編〉では、主要私立大学8校で実際に実技試験の試験官を務めた経験をもつ先生方にインタビュー。

フォルマシオン・ミュジカル 名曲で学ぶ音楽の基礎 II 楽典・ソルフェージュから音楽史まで

フォルマシオン・ミュジカル 名曲で学ぶ音楽の基礎 I 楽典・ソルフェージュから音楽史まで
舟橋三十子 著

フランスで行われている、名曲やよく知られた曲をテキストにして、音楽を多角的な面から考え、真の音楽家が身につけるべき広い教養と高い音楽性や創造性を目指す学習方法――この考え方は“フォルマシオン・ミュジカル” (Formation Musicale)と呼ばれている。本書は、フォルマシオン・ミュジカルを今の日本の現状に合わせて、幅広い視点から音楽を捉えるという考え方に基づいて構成された問題集。全2巻。Iは初級。
「ソルフェージュ」「楽典」「楽式」「和声」「音楽史」など、音楽に必要な基本が身に付く。さらに発展した知識と教養を身に付けるために、各曲(章)の終わりに「コラム」を設けた。オーケストラ、ピアノ曲を中心に、声楽・合唱、室内楽、協奏曲も収載。

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